この春の未曾有の大震災に際して、クラブヒルサイドを通して最初に声をかけさせて頂き、立ち上げることができました「3.11 絵本プロジェクトいわて」は、思いもかけないほどの反響がありました。あらためて、大震災に際して全国の人たちの何かしたい、という切実な気持ちと、人々の絵本に寄せる信頼の深さとを感じる毎日でした。

　9月末現在までに全国から23万冊を越える絵本が届き、延べ2000人を越えるボランティアの人たちが、盛岡市中央公民館を拠点として、開梱、仕分け、絵本のお届けなどに携わっております。開梱した段ボールの数は5800個を数え、お届けした絵本はすでに62795冊、147カ所にのぼります。

　その他にも、流された学校図書館や町の図書館が再開したときのために、それぞれ仕分けの済んだ絵本を、要請があった時に、すぐに運べるように約30000冊を郊外の学校の空き教室などに保管して頂いております。このプロジェクトは現地をよく知る人たちのさまざまなネットワークで成り立っているのです。

　それだけでなく、IBBY（国際児童図書評議会）という世界中で74カ国が加盟している子どもの本に関わる人たちの組織が、正式にこのプロジェクトを支援することを決め、各国の支部を通じて支援し、彼らのホームページでも世界中の取り組みとして紹介されています。

　そして、皆様からいただいた支援金や助成金をもとに、特別にデザインした小型のかわいらしい「絵本カー」を6台作ることが出来ました。いま、この車が被災地の子どもたちに絵本を届けに走り回っております。この車には、冬のためのスノータイヤも用意しております。

　このたび、クラブヒルサイドと共催で「3.11 絵本プロジェクトいわて」の報告展を開催できることになりました。これは全国で初めての報告展になります。

　この報告展には全国から寄せられた絵本とともに送られてきたお手紙なども展示し、プロジェクトの実際の様子をご覧いただけますので、どうぞゆっくりとご覧ください。

　とくに猿楽祭に際しましては、岩手から「絵本カー」とともに3人のボランティアスタッフも駆けつけることになりました。ご協力頂きました皆様にまずは東京で実物をご覧いただけることを大変嬉しく思います。

　岩手はこの数日、急に寒くなり、10月2日には、岩手山の頂上に初雪が観測されたとのことです。これは、昨年より、25日も早いのだそうです。この冬の寒さがあまり厳しくならないようにと祈るような気持ちです。

「3.11 絵本プロジェクトいわて」代表
末盛千枝子