文明の踏み分け道で考える――北川フラムと“アート”を語る
- SERIES
『美術は地域をひらく――大地の芸術祭10の思想』(現代企画室)発刊を記念して、クラブヒルサイド・ディレクターの北川フラムによるトークシリーズを開催します。グローバル化、効率化、スタンダード化する世界の流れにあって、アートの可能性はますます大きくなっています。本シリーズでは、様々な分野の第一線で格闘されているゲストと語り合うことを通して、文明の踏分道にある現在、共有の意味、共通の世界風景を探ります。
会期 | 2014年5月~2015年5月 |
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日時 | 各回 19:00-20:30 |
定員 | 50名(要予約) |
参加費 | 一般 2,000円 クラブヒルサイド会員 1,000円 |
主催 | クラブヒルサイド |
共催 | 現代企画室 |
スケジュール
第9回 「大地の芸術祭はソーシャルビジネスか――バングラデシュ緑豆プロジェクトと響きあうもの」終了しました
ゲスト:佐竹右行(グラミン・ユーグレナ CO-CEO)
2014年11月26(水)
第13回 「開発好明・再考―日本のアートの中心はどこか」終了しました
ゲスト:開発好明(アーティスト)、池田修(BankART1929代表)、窪田研二(インディペンデント・キュレーター)
2015年5月19日(火)
講師プロフィール
北川フラム(きたがわ・ふらむ)
1946年新潟県高田市(現・上越市)生まれ。東京芸術大学卒業。アートアートフロントギャラリー主宰。
主なプロデュースとして「アントニオ・ガウディ展」、「子どものための版画展」、「アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展」など。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」、今年開催される「北アルプス国際芸術祭」「奥能登国際芸術祭」の総合ディレクターを務める。
椹木野衣(さわらぎ・のい)
美術評論家、多摩美術大学美術学部教授。1962年埼玉県生まれ。評論のほかに、新たな視点で話題を呼んだ展覧会「日本ゼロ年」「アノーマリー」などを企画。主な著書に『シミュレーショニズム』『日本・現代・美術』『戦争と万博』『反アート入門』など。近年は岡本太郎の再評価や戦争記録画の再考にも力を注ぐ。長編評論「後美術論」を『美術手帖』に連載中。
東浩紀(あずま・ひろき)
1971年生。思想家・作家。ゲンロン代表取締役。専門は現代思想、情報社会論、表象文化論。メディア出演多数。主著に『存在論的、郵便的』(1998、サントリー学芸賞受賞)『動物化するポストモダン』(2001)『クォンタム・ファミリーズ』(2009、三島由紀夫賞受賞)『一般意志2.0』(2011)。編著に『福島第一原発観光地化計画』(2013)など。
都築響一(つづき・きょういち)
編集者、写真家。1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。『TOKYO STYLE』『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(第23回木村伊兵衛賞)『賃貸宇宙UNIVERSE forRENT』『現代美術場外乱闘』『珍日本超老伝』など著書多数。個人有料メールマガジン『ROADSIDERS’ weekly』を配信中(http://www.roadsiders.com/)。
川俣正(かわまた・ただし)
美術家。1953年生まれ。1982年、ヴェネツィア・ビエンナーレへの参加を機に、ドクメンタ、リヨン現代美術ビエンナーレ等、多数の国際展に参加し、欧米を中心に高い評価を獲得し続けている。現在はパリ国立高等芸術学院教授。建築や都市計画、歴史学、社会学、日常のコミュニケーション、あるいは医療にまで及ぶ広い領域に関わった作品制作を行っている。
高島宏平(たかしま・こうへい)
オイシックス株式会社代表取締役社長。1973年神奈川県生まれ。2000年6月、インターネットなどを通じて安心安全な食品を販売し、「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念としたオイシックスを設立、2013年3月東証マザーズに上場。その他、2007年にはNPO法人「TABLE FOR TWO International」理事に就任、2011年3月の大震災後には、一般社団法人「東の食の会」や「BEYOND Tomorrow」の発起人・代表理事となり、復興支援活動を精力的に実施している。
尾田栄章(おだ・ひであき)
1941年奈良県生まれ。建設省でおもに危機管理を担当。「環境」と「住民参加」を求める河川法改正を担当。退職後、第3回世界水フォーラム(2003:日本開催)の事務局長。国際的な水問題とともに「打ち水大作戦」や蓋をされた『春の小川(渋谷川)』の再生に取組む。現在、原発事故で被災の広野町で復興に向けて派遣職員として勤務。主な著書に『セーヌに浮かぶパリ』、『みちのくに徹する』。「記紀と続紀の時代を『水』で読み解く」を雑誌「河川」に連載中
柴田和豊(しばた・かずとよ
1948年神戸市生まれ。大阪教育大学、東京芸術大学大学院修士課程修了。1975年以降、宮崎大学、三重大学、東京学芸大学の教育学部に勤務し、美術教育を担当。その間「教育と美術がどう出会うか」「美術の教育的機能」「美術教育の原点帰りと現代化」などの視点からの考察と、美術教育の実践的プランの組み上げに取り組む。著作に『メディア時代の美術教育』(国土社)、「子どもの側に立った教育は存在するか」(『美術教育学』建帛社)、「美術教育の人間学のために」(『美術教育再生の論理を求めて』北冬書房)などがある。
苅部直(かるべ・ただし)
政治学者(日本政治思想史)。1965年東京生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現、東京大学法学部教授。著書に『光の領国 和辻哲郎』(岩波現代文庫)、『丸山眞男――リベラリストの肖像』(岩波新書)、『安部公房の都市』(講談社)、『秩序の夢ーー政治思想論集』(筑摩書房)などがある。
佐竹右行(さたけ・ゆうこう)
1955年京都府生まれ。早稲田大学法学部卒業。野村証券に19年間勤務後、株式会社パラカの経営に参加し、専務取締役としてマザーズに上場させる。その後、東京グロースリートの持株会社の社長としてREITを東証に上場させる。2008年に株式会社雪国まいたけに入社。2010年10月グラミン財団の間で合弁会社、グラミン雪国まいたけを設立し緑豆プロジェクトを開始。2014年9月株式会社ユーグレナとグラミン雪国まいたけが株式譲渡契約を締結。現在は同社にて緑豆プロジェクトを継続しながら「ユーグレナGENKIプログラム」にも取り組んでいる。
原広司(はら・ひろし)
建築家。東京大学名誉教授。1936 年神奈川県生まれ。原広司+ アトリエ・ファイ建築研究所として、主な設計活動に札幌ドーム、JR 京都駅、梅田スカイビル、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]等。梅田スカイビルは、英タイム誌によりパルテノン神殿やタージマハル、サクラダファミリアに並んで「世界の建築物トップ20 」に選出される。主な著書に『建築に何が可能か』『 空 間 〈 機 能 か ら 様 相 へ 〉 』『 集 落 へ の 旅 』『 D I S C R E T E C I T Y 』『 Y E T 』 な ど 。
森繁哉(もり・しげや)
現代舞踊家。1947年山形県大蔵村生まれ。大蔵村の行政に関わる傍ら、大蔵村を拠点に舞踏・芸術活動を展開。大蔵村柳渕地区に「すすき野シアター」、「里山ダンス事務所」などを開設。東北芸術工科大学に移籍後、「東北芸術工科大学こども芸術大学」副校長に就任。2011年以降、作家活動に入る。長年にわたり大蔵村を拠点とし、様々な「土地のダンス」を創作。民俗学研究者として基層文化の継承に尽力。NHK東北ふるさと賞などを受賞。著書に『東北からの思考』『温泉からの思考』『生命と舞踏』など。現在、まつだい郷土資料館館長を務める。
相馬千秋(そうま・ちあき)
NPO法人芸術公社・代表理事。アートプロデューサーとして国内外で多数の舞台芸術のキュレーション、プロデュースを行っている。これまでの主な活動に横浜の「急な坂スタジオ」設立およびディレクション (06-10年) 、フェスティバル/トーキョー 初代ディレクター(09-12年)、r:ead(レジデンス・東アジア・ダイアローグ)設立およびディレクター (12年~)など。
池上高志(いけがみ・たかし)
1961年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授として教鞭を執る傍ら、複雑系科学研究者として、アートとサイエンスの領域を繋ぐ活動も精力的に行う。音楽家・渋谷慶一郎とのプロジェクト「第三項音楽」や、写真家・新津保建秀とのプロジェクト「MTM」、宮島達男とのプロジェクト、生命体のような動きをするガジェット「LIFE I-model」など、その活動は多岐にわたる。著書に『生命のサンドウィッチ理論』(講談社)、『動きが生命をつくる―生命と意識への構成論的アプローチ』(青土社)など。
開発好明(かいはつ・よしあき)
1966年生まれ。観客参加型の美術作品を中心に、PS1 MOMA「Dia del Mar/By the Sea」(2002)、ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築(2004)、「Berlin-Tokyo/Tokyo-Berlin」(2006)、大地の芸術祭(2006-)、中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス(2013)参加。2011年より「デイリーアートサーカス」を主催し東北を中心に巡回展を行う。また2011年より毎年3月9日に開催される「サンキューアートの日」の企画者としても知られる。
池田修(いけだ・おさむ)
BankART1929代表、PHスタジオ代表。1984年、美術と建築を横断するチームPHスタジオを発足。86~91年ヒルサイドギャラリーディレクター。04年からBankART1929の運営に携わり、数々のアートプロジェクト、アーティスト支援、出版等を行なう。街づくり関係でのシンポジウム参加も多い。06年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、13年度国際交流基金地球市民賞。
窪田研二(くぼた・けんじ)
キュレーター、筑波大学芸術系准教授。上野の森美術館、水戸芸術館現代美術センター学芸員を経て2006年よりインディペンデント・キュレーターとして活動。2008年KENJI KUBOTA ART OFFICE、2010年SNOW Contemporary設立。「マネートーク」(広島市現代美術館、2007-2008)、「赤坂アートフラワー08」(2008)、「Twist and Shout」(BACCバンコク、2009-2010)、「六本木クロッシング2010—芸術は可能か?」(森美術館、2010)ほか多数。
蔡國強(さい・こっきょう、Cai Guo-Qiang
アーティスト。1957年中国福建省泉州生まれ。1986-95年日本に滞在。その後ニューヨークに活動拠点を移す。火薬を用いた作品制作のほか、中国文化を題材に、独自の批評精神を加えたインスタレーションを展開する。様々な展覧会の企画・キュレーターとしても活躍。大地の芸術祭では、第1回より「ドラゴン現代美術館」の館長兼キュレーターを務める。1999年「ベネチア・ビエンナーレ」国際賞、2012年高松宮殿下記念世界文化賞受賞。
シリーズ概要
普遍性・多様性へと向かおうとしてきた意志が阻まれ、強烈な排他性が地球全体を覆おうとしている時代にあって、私たちはいかに他者とつながり、世界に向ってひらかれうるのか。
その方途を、先人たちの歩みを通して考えるセミナーシリーズが「知をひらく」です。
建築、美術、文学、思想、科学、音楽、ファッションなど、この国のさまざまな分野で独創的な業績を残した人たちは、あふれるような好奇心に導かれた該博な知と深い歴史意識を礎に、どのように時代をとらえ、自らの仕事を切り拓き、専門性を越えて他者にひらこうとしたのか――。
知の巨人たちの仕事、思想、生き方をめぐるゲストとの対話を通じて、クラブヒルサイド・ディレクターの北川フラムが未来への針路を探ります。