人生に大切なことはすべて絵本から教わった2011-2012
第5回 M.B.ゴフスタイン「あなたのひとり旅」―出版をめぐって 末盛千枝子、谷川俊太郎
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出演 | 末盛 千枝子(編集者)、谷川俊太郎(詩人) |
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日時 | 2012年2月4日(土) 14:00-15:30 |
会場 | ヒルサイドプラザ |
定員 | 150名 |
会費 | 一般2,500円 クラブヒルサイド会員1,500円 |
予約・問合せ | ヒルサイドインフォメーション TEL: 03-5489-3705 FAX: 03-5489-1269 E-MAIL : mail info@hillsideterrace.com |
出演者
末盛千枝子
1941年、彫刻家・舟越保武の長女として東京に生まれる。絵本の編集者を経て、88年すえもりブックスを設立。以後、タシャ・チューダー、ゴフスタインの絵本、皇后美智子さまの講演録など、独自の価値観による出版を続けている。2010年4月に『人生に大切なことはすべて絵本から教わった』(現代企画室刊)を出版。同年5月に岩手県八幡平市に移住。2011年3月「3.11絵本プロジェクトいわて」を立ち上げる。
谷川俊太郎
1931年、東京生まれ。第一詩集『二十億光年の孤独』出版。以後詩、エッセー、脚本、翻訳などの分野で文筆を業として今日にいたる。詩集に『ことばあそびうた』、『みみをすます』、『日々の地図』、『はだか』、『世間知ラズ』など、エッセー集に『散文』、『ひとり暮らし』、絵本に『わたし』『ともだち』などがある。最新刊は詩集『シャガールと木の葉』、『すき』、『詩の本』、『トロムソコラージュ』など。
イベント概要
セミナー終了後に、谷川俊太郎さんのサイン会がございます。 ※当日開場で『ふたりのひとり旅』をご購入の方、先着100名様限定。 詳しくはこちらをご覧ください。
関連シリーズ
人生に大切なことはすべて絵本から教わった
2011-2012
編集者として45年にわたり美しい絵本と関わってこられた末盛千枝子さん。2008年度ヒルサイドテラスで大好評を博し、同名の書籍も生み出したセミナーシリーズが、多くのご要望を受けて再開されます。多彩なゲストもお迎えしながら開催します。人間の生き方のなかに本当の美しさを見据え、それを出版を通して人々に伝えてこられた末盛さんの滋味豊かな言葉に触れてください。
- 第1回 良寛とフランチェスコ ― 大正デモクラシーがもたらしたもの 末盛千枝子、 北川フラム2011年6月11日(土)終了しました
- 第2回 「いのち」をめぐって - 宮沢賢治を手がかりに 末盛千枝子、 中村桂子2011年7月30日(土) 14:00-15:30終了しました
- 第3回 いま、読みたい絵本2011年10月22日(土)終了しました
- 第4回 大編集者マーガレット・マッケルダリー2011年11月26日(土)終了しました
- 第5回 M.B.ゴフスタイン「あなたのひとり旅」―出版をめぐって 末盛千枝子、谷川俊太郎2012年2月4日(土)終了しました
- 1冊の絵本をあなたに―「3.11 絵本プロジェクトいわて」から3月24日を予定しておりましたが、諸事情により延期いたします。 日程が決まり次第お知らせいたします。終了しました
- 第6回 母を語る2012年4月14日(土)終了しました
- 第7回 子どもという不思議 (最終回)2012年6月9日(土)終了しました
人生に大切なことはすべて絵本から教わった レポート 第5回「M.B.ゴフスタイン『あなたのひとり旅』―出版をめぐって」
2012年2月4日(土) ヒルサイドプラザ
あたたかな日差しが次の季節の訪れをつげる立春のその日、アメリカの絵本作家M.B.ゴフスタインの翻訳絵本『あなたのひとり旅』出版記念イベントが行われました。これは、末盛千枝子さんの名を冠した現代企画室の新シリーズ「末盛千枝子ブックス」の第一弾となります。当日は、本書の翻訳を手がけられた谷川俊太郎さんをお迎えし、おふたりの出会いについて、ゴフスタイン作品や絵本というジャンルの魅力について、そして本書のテーマである大切なパートナーとの別れについて、さらには、翻訳やことばの力について等、縦横無尽に語っていただきました。
大学を卒業後、末盛さんがお勤めになられていた出版社ではじめて出会い、その後、ゴフスタインの絵本を編集者として手がけられるときに、訳はぜひ谷川さんにお願いしたいと依頼したことから、お仕事をご一緒されるようになったというおふたり。
「まったく子ども向けというものではなくて、これぞニューヨーカー!みたいな。最先端のかっこよさを感じさせる絵本。そして、内容は非常に哲学的。それをアンダーステイトメントというか、非常に言い足りないところで表現しているという。そういうところで勝負している。」谷川さんが語るゴフスタイン作品の魅力に、末盛さんも大きくうなずかれます。
長い歳月を連れ添った老夫婦が死別の悲しみと思い出の美しさを歌ったカントリーソング「Your Lone Journey」に、ゴフスタインが絵を添えることで生まれた絵本『あなたのひとり旅』(アメリカでの初版は1986年)、日本語版を出版するにあたり末盛さんが今思われていること――夫にきざす老いの存在を日々感じながら、夫婦というかたちについて、ともに歩まれたこれまでの日々について、末盛さんから語られることばがあります。
「谷川さんのひらがなの長編詩『みみをすます』の『あなた』というのがとても好きです。“わたしとおなじようなみみをもっているのに わたしとはちがうことをきくひと”――それって素晴らしいですよね。」(末盛)
「素晴らしいって。とくに結婚生活では、それで苦労するんですけれども。」(谷川)
老い、死、人生、男と女……そういったテーマにおいてことばを交わし合いながら、谷川さんのウィットに富んだお話に、ユーモアをもってお応えになる末盛さん。会場が笑いに包まれる時間となりました。「簡単にはことばにならないこと」と言われながらも、ご自身の実体験に即し、矛盾に満ちているだろう現実を直視することで生み出されることばの数々は、新たな地平へのいざないのごとく、視野を広げ、自由に考えることができるということを教えてくれたようでした。