新津保建秀写真スクール「見えないものを撮る」 第3回〈「音」を撮る〉 ゲスト:渋谷慶一郎
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毎回、異なるテーマのもとに受講者が撮ってきた写真をめぐり、多様な分野の第一人者をゲストに迎え、 ディスカッション形式で講座を展開します。夏には「大地の芸術祭」の里、越後妻有で合宿形式のワークショップも行い、 講座終了時には、全講座の成果を発表する展覧会を代官山のヒルサイドテラス内、ヒルサイドフォーラムにおいて開催します。
展覧会では、写真・美術・カルチャー・広告等の雑誌編集長によるレビューを実施し、年齢を問わない、新しい才能の発掘の場となることを目指します。
7月2日は、ゲストに音楽家の渋谷慶一郎さんをお迎えし、ディスカッション形式で写真講座を展開します。
日時 | 2011年7月2日(土) 14:00-17:00 |
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会場 | ヒルサイドテラス アネックスB棟(東京都渋谷区猿楽町30-2) |
定員 | 25名 |
受講料 | 一般6万円 クラブヒルサイド会員5万円 学生5万円 ※第4回 1泊2日の宿泊費【朝夕食付】 終了レビュー参加費含む |
主催 | クラブヒルサイド |
協力 | 代官山スタジオ |
登壇者・講演者
新津保建秀
1968年生まれ。写真と映像による作品制作を行う。数多くの企業広告、音楽、映画、文藝、ファッション、建築の写真を手がけ、 異分野のクリエーターとの共同作業も多い。昨年手がけたものとして、日本郵便年賀状キャンペーンポスター、 「きこえる?School & Music」(文藝春秋/東京大学知の構造化センター pingpong project)など。 写真集に『記憶』(FOIL)、『夏*』(マドラ出版)、『Rugged TimeScape』(FOIL)。関連書籍に『建築と写真の現在』(TNプローブ)がある。
渋谷慶一郎
1973年生まれ。音楽家、作曲家。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。2002年ATAK設立。2004年電子音楽における記念碑的作品「ATAK000keiichiro shibuya」をリリース。以後、ネットワークテクノロジー、映像など多様なクリエイターと活動を展開。他に「アワーミュージック 相対性理論+渋谷慶一郎」、映画「死なない子供、荒川修作」の音楽も担当。
関連シリーズ
新津保建秀写真スクール「見えないものを撮る」
ケハイ、音、時間、匂い、言葉…。視覚のメディアである写真は「目に見えないもの」をいかに写し撮ることができるのでしょうか。 異分野のクリエーターとのコラボレーションを始め、今もっともその活動が注目される写真家のひとり、新津保建秀が初めて取り組む写真講座シリーズが2011年5月スタートします。
毎回、異なるテーマのもとに受講者が撮ってきた写真をめぐり、多様な分野の第一人者をゲストに迎え、 ディスカッション形式で講座を展開します。夏には「大地の芸術祭」の里、越後妻有で合宿形式のワークショップも行い、 講座終了時には、全講座の成果を発表する展覧会を代官山のヒルサイドテラス内、ヒルサイドフォーラムにおいて開催します。
展覧会では、写真・美術・カルチャー・広告等の雑誌編集長によるレビューを実施し、年齢を問わない、新しい才能の発掘の場となることを目指します。
新津保建秀写真スクール「見えないものを撮る」 第3回 レポート
2011年7月2日(土) アネックスB棟
ゲストは、音楽家の渋谷慶一郎さん。課題は、〈一生手放したくない「音」を撮る〉。異分野のクリエーターを擁し、電子音楽からより多様なジャンルへと活躍の場を広げる渋谷さんは、自ら創り出す「音」を実際の社会の中で成立させるための術を心得た、プレゼンテーションの達人でもありました。ひとりひとりの作品について、エッジのきいた、かつユーモアあふれる言葉で講評してくださいました。
当日は、アーティストの荒神明香さんも特別ゲストとして登場。アイデアから作品に至る過程がとてもわかりやすく表現されているポートフォリオを特別公開してくださいました。
今回は写真と共に音源も提出するという難度の高い課題であったにもかかわらず、受講生のほとんどの方が、前回の永井さんの授業から2週間足らずの短い提出期間をクリア。皆さんの熱心さが伝わってきました。
消えてしまうかもしれない音=日常の記録を作品とした人。かけがえのない記憶や存在と結びついた音や音楽を選んだ人。果して音は“所有”できるのか?というコンセプチュアルな問いそのものを作品にした人。ジョン・ケージのように、音の対極にある沈黙あるいは無音の不可能性を写真で表現しようとした人。
渋谷さん、新津保さんいずれもが指摘したのは、対象との距離の取り方。個人的な記憶や記録を他者に伝わる表現にするための「対象化」の必要性でした。「好きなものをどれだけ引いて観るか」と新津保さん。渋谷さんはまた、音とヴィジュアルという2つのメディアのバランスの問題を指摘。音という抽象性の高いメディアと写真/ヴィジュアルが相補的であり、かつそれぞれを喚起させ、刺激しうるような表現の可能性を示唆しました。
とにかく、渋谷さんのライブ感覚あふれるインタラクティブな受講生とのやり取りと、新津保さんとの息の合ったコンビネーションに、授業は大いに盛り上がり、懇親会、アフター懇親会へと続くのでした。
次回は、いよいよ越後妻有での合宿授業。池上高志さんによる「〈時間〉を撮る」です。