宇沢弘文を読む―社会的共通資本から現代の課題を考える
- SERIES
日本人でノーベル経済学賞に最も近づいたといわれる世界的経済学者・宇沢弘文(1928-2014)。今再びその人と思想への注目が高まっています。
氏が提唱した「社会的共通資本」をヒントに、私たちが直面するさまざまな課題を各分野の第一線の専門家とともに考えるシリーズです。皆様のご参加をお待ちしております。
会期 | 2020年9月~ |
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時間 | 19:00 -20:30 |
会場 | クラブヒルサイドサロン(ヒルサイドテラスアネックスB棟2F/東急東横線代官山駅より徒歩3分) |
定員 | 来場参加20名+オンライン参加(要予約) |
参加費 | 各回 来場参加:一般 2,000円、クラブヒルサイド会員/学生 1,500円 |
予約受付開始 | 各回イベントページにてご確認ください。 |
スケジュール
第1回 2020年 9月30日(水)「社会的共通資本としての都市」 終了しました
槇文彦(建築家)×岡部明子(都市計画学者)
1956年からアメリカで研究生活を送り、ジェーン・ジェイコブズに影響を受けた宇沢弘文は、1968年に高度経済成長ただ中の日本に戻ると、近代的都市計画の理念を超え、人々が人間的、文化的、自然的な観点から生き生きと生活する都市形成の条件とは何かを問いかけました。宇沢と同じ年に生まれた槇文彦さんも、大学卒業後、渡米、アメリカのアーバンデザインの第一線に身を置き、1965年に帰国後は、ヒルサイドテラスをはじめ、様々な実践を通してアーバニズム、そして社会的資産としての建築を問い続けてきました。
コロナ禍で都市のあり方がこれまで以上に問われる現在、槇さんは都市についてどのように考えているのでしょうか。槇さんの教え子であり宇沢とも親交のあった岡部明子さんを聞き手に、ヒルサイドテラス、新国立競技場問題、ヒューマニズムとしての建築・都市について語っていただきます。
【プロフィール】
・槇 文彦
1928年東京都生まれ。1952年に東京大学工学部建築学科を卒業し、アメリカのクランブルック美術学院およびハーバード大学大学院の修士課程を修了。建築設計事務所などに勤務するかたわら、ワシントン大学とハーバード大学で都市デザインの準教授も務める。1965年に帰国、株式会社槇総合計画事務所を設立。代表作に、ヒルサイドテラス、スパイラル、幕張メッセ、4ワールドトレードセンターなど。最も建築家にとって名誉あるプリツカー賞をはじめ、受賞多数。
・岡部 明子
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。環境学博士(2005年)。現在は、途上国の都市インフォーマル地区と日本の古民家を拠点に、実践を通して地球環境問題を再考する活動を展開している。著書に、『高密度化するメガシティ』(編著、東京大学出版会、2017)、『バルセロナ』(中公新書、2010)、『サステイナブルシティ-EUの地域・環境戦略』(学芸出版社、2003)ほか。
第2回 2020年10月27日(火)「資本主義と闘った男――いまなぜ<宇沢弘文>か」終了しました
佐々木実(ジャーナリスト)
戦後間もなく数学から経済学に転じ、優れた幾多の論文によって世界の経済学界を驚かせ、数理経済学の最先端で活躍した宇沢弘文。しかし、1968年、宇沢はアメリカでの輝かしい地位を捨て突如帰国。以後、公害問題、成田空港問題等の社会問題に関わりながら、市場原理化する資本主義に警鐘を鳴らし続けました。資本主義が曲がり角を迎える今、50年以上前に宇沢が着想した「社会的共通資本」は、現在のSDGsや地球環境問題解決につながるものとして再び注目を集めています。『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』を著したジャーナリスト、佐々木実さんをお迎えし、宇沢の全体像を明らかにします。
【プロフィール】
1966年、大阪府生まれ。91年、大阪大学経済部卒業後、日本経済新聞社に入社。東京本社経済部、名古屋支社に勤務。95年に退社し、フリーランスのジャーナリストとして活動中。著書『市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の実像』(講談社)で、第45回大宅壮一ノンフィクション賞と第12回新潮ドキュメント賞をダブル受賞。『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』(講談社)で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞、城山三郎賞をダブル受賞。
第3回 2020年11月24日(火)「生命誌から社会的共通資本を考える」終了しました
中村桂子(生命誌研究者)
今から40年以上前、宇沢弘文は生命科学の第一人者・渡辺格(1916―2007)と対話を重ね、その記録は『生命・人間・経済学 科学者の疑義』として出版されました。そこでタブーなく議論された経済性優先社会、科学、人間性、弱者、教育などの問題点は、21世紀の日本が直面している課題を先取りし、警鐘を鳴らすものでした。コロナ禍により、文明の在り方、人間の生き方がますます問われている現在、私たちはこれらの課題にどう臨めばよいのでしょうか。「人間は生きものであり、自然の一部である」ことを原点に生命誌の世界を切り開き、おふたりとも親交があった中村桂子さんにたっぷりと語っていただきます。
【プロフィール】
1936年東京都生まれ。東京大学理学部化学科卒業、同大学院生物化学博士課程修了。
国立予防衛生研究所、三菱化成(現三菱化学)生命科学研究所、早稲田大学人間科学部教授などを経て、1993年に自ら提唱する「生命誌」の理念を実現する「JT生命誌研究館」を大阪府高槻市に設立。 2002年より同館館長、2020年より名誉館長。主な著書に『中村桂子コレクション いのち愛づる生命誌Ⅳ はぐくむ 生命誌と子どもたち』(藤原書店)、『「ふつうのおんなの子」のちから』(集英社クリエイティブ)他、多数。
第4回 2021年 1月19日(火)「社会的共通資本としてのアート」終了しました
北川フラム(アートディレクター)
宇沢は大気、森林、河川、水、土などの自然環境、道路、交通機関などの社会的インフラストラクチュア、教育、医療、コミュニティなどの制度資本を社会的共通資本の構成要素であると考えました。「それらは“計量不能なもの”であり、文化やアートもまたそうした社会的資本に他ならない」と北川さんは言います。コロナ禍において社会的共通資本の重要性に関心が集まるなか、アートという“計量不能なもの”によって、効率性から切り捨てられた農村や離島を活性化してきた北川さんに、文化・アートの可能性について語っていただきます。
【プロフィール】
1946年新潟県高田市(現・上越市)生まれ。東京芸術大学卒業。アートフロントギャラリー代表。クラブヒルサイド・ディレクター。主なプロデュースとして「アントニオ・ガウディ展」、「子どものための版画展」、「アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展」など。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」「北アルプス国際芸術祭」「奥能登国際芸術祭」の総合ディレクターを務める。
第5回 2021年4月15日(木)「社会的共通資本としての医療ー在宅医療の現場から」終了しました
佐々木淳(医師、医療法人社団悠翔会理事長)
最期まで安心して暮らせる地域を目指し、在宅総合診療を軸に社会の変化に柔軟に対応した医療システムを追求する佐々木淳さんをお迎えし、宇沢弘文がいうサービスではない医療、信任信託が基盤の医療の実践とは何かを考えます。
【プロフィール】
医療法人社団悠翔会理事長・診療部長。1998年筑波大学医学専門学群卒業。三井記念病院、東京大学医学部附属病院等を経て、2006年に最初の在宅療養支援診療所(MRCビルクリニック)を開設。2008年、悠翔会として法人化、理事長就任。現在、首都圏を中心に全15クリニックで約5,500名の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を展開する。著書に『これからの医療と介護のカタチ 超高齢社会を明るい未来にする10の提言』(日本医療企画)、『在宅医療カレッジー地域共生社会を支える多職種の学び21講』(医学書院)等。
第6回 2021年6月24日(木)「社会的共通資本としてのコミュニティとその記憶」 終了しました
森まゆみ(作家、編集者)
「コミュニティ(地域社会)」は、人間が人間らしい生活を営むために不可欠な社会的共通資本です。地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の発行等、記憶から記録へと歴史や文化を掘り起こし、コミュニティ再生に取り組んでこられた森まゆみさんにお話しいただきます。
【プロフィール】
1954年生まれ。早稲田大学卒業後、出版社を経て、1984年、仲間と地域雑誌『谷中・根津・千駄木』を創刊。地域を歩き話を聞く中から『鷗外の坂』(芸術選奨文部大臣新人賞)、『彰義隊遺聞』、『「青鞜」の冒険』(紫式部文学賞受賞)などの著書が生まれる。 不忍池地下駐車場反対運動、赤レンガの東京駅保存など、地域の環境、建築物の保存・活用にも携わってきた。著書に『暗い時代の人々』、『お隣のイスラーム』、『子規の音』、『路上のポルトレ』など。元文化庁文化審議会委員。現在、日本ナショナルトラスト理事。地域で若者を集め、「バーあいそめ」を「さすらいのママ」として不定期に開く。3・11後は東北へ通い、特に石巻市北上川のヨシ原の保全に協力してきた。
第7回 2021年7月14日(水)「社会的共通資本としての金融」終了しました
渋澤健(コモンズ投信会長)×朝倉陽保(丸の内キャピタル社長)
宇沢弘文は、「金融」を社会的共通資本の制度資本のひとつとしてとらえ、高い倫理観と知識で守っていく必要を唱えました。金融は豊かな社会のために何を目指すのか。新しい投資のあり方を追求する渋澤健さん、朝倉陽保さんに語り合っていただきます。
【プロフィール】
・渋澤 健
渋沢栄一 玄孫。1961年生まれ。 69年父の転勤で渡米し、83年テキサス大学化学工学部卒業。 財団法人日本国際交流センターを経て、87年UCLA大学MBA経営大学院卒業。 JPモルガン、ゴールドマンサックスなど米系投資銀行でマーケット業務に携わり、96年米大手ヘッジファンドに入社、97年から東京駐在員事務所の代表を務める。 2001年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業。 07年コモンズ株式会社を創業(08年コモンズ投信(株)に改名し、会長に就任)。 経済同友会幹事(アフリカ委員会副委員長、政策審議委員会委員、他)、外務省「SDGsを達成する新たな資金を考える有識者懇談会」座長、UNDP(国連開発計画)SDGs Impact運営委員会委員、等を務める。
・朝倉 陽保
1984年に三菱商事に入社し情報通信分野の事業開発、事業投資を担当。1999年に三菱商事を退職し、その後一貫してプライベート・エクイティ投資に携わる。カーライル・グループ、産業革新機構等を経て2016年より株式会社丸の内キャピタルの代表取締役社長。経済同友会 幹事。朝倉不動産株式会社 代表取締役(非常勤)。慶應義塾大学工学部卒。ハーバード大学MBA。
第8回 【新日程】2021年8月24日(火)「社会的共通資本としての自然~サンゴ礁を手がかりに」終了しました
渡邊剛(喜界島サンゴ礁科学研究所理事長)
※5月27日の開催を予定しておりましたが、8月24日に延期となりました。
社会的共通資本で一番大事なものが自然である――。宇沢弘文は経済学で初めて自然を考えることを提言しました。今回は自然、特にサンゴ礁を手がかりに社会のあり方を考えてみたいと思います。サンゴは地球温暖化の影響を最も濃く受けている動物のひとつ。サンゴの骨格には歴史そのものが刻み込まれています。時代の生き証人とも言うべきサンゴ礁を研究してこられた渡邊さんにその奥深さをご紹介いただきます。喜界島で地域に根ざした活動も展開する渡邊さん。「100年後に残す」活動についてもお話しいただきます。
【プロフィール】
喜界島サンゴ礁科学研究所理事長。北海道大学大学院理学研究院講師。北海道大学理学部卒業、北海道大学地球環境科学院博士課程修了、オーストラリア国立大学、フランス国立気候環境研究所、ドイツ・アーヘン工科大学、ハワイ大学ケワロ海洋研究所で研究員を歴任。サンゴ骨格から当時の地球環境変動を読み取るために、世界の海を駆け巡り未踏の地を探求する“うみぼーずハンターズ”。喜界島に魅了され弟子と共に喜界島サンゴ礁科学研究所を開設。現在、精鋭部隊と共に研究所の発展と国内外からより多くの仲間を集めるために奮闘中。
第9回 2021年10月19日(火)「社会的共通資本としての教育〜教育に投資しない国は存続し得るか」終了しました
塩瀬隆之(京都大学総合博物館准教授)
社会的共通資本の中では「制度資本」の中核をなす教育。塩瀬さんは、ロボット工学や人工知能から教育や哲学に惹かれ、現在は京都大学総合博物館准教授の傍ら様々な活動をされています。大学博物館を〝学習の場”として広げ、誰もが通いたいと思える学校を公立の学校で実現するため、不登校特例校「岐阜市立草潤中学校」の創設にも尽力されています。宇沢が教育の本質であるとした「内的な能力」を引き出す場を実際に創るということ、公がそれに関わる意義などを伺っていきたいと思います。
【プロフィール】
京都大学総合博物館准教授 京都大学工学研究科精密工学専攻修了。機械学習による熟練技能伝承の研究で博士(工学)。経済産業省産業技術環境局 技術戦略担当課長補佐を経て2014年7月より現職。著書に「問いのデザイン」など。NHK Eテレ「カガクノミカタ」番組制作委員、産業構造審議会イノベーション小委員会若手WG座長、カーボンニュートラル若手WG座長、大阪・関西万博2025政府日本館基本構想有識者委員会座長ほか委員多数。
第10回 2021年12月15日(水)「社会的共通資本に至る道 〜読書大全に見る先人たちの叡智」終了しました
堀内勉(多摩大学社会的投資研究所教授)
堀内さんは、金融業界という資本主義の中核で活動された後、「資本主義とは何か」を問い続け、その幅広く深い読書歴をもとに今年出版された『読書大全』はその重厚さにもかかわらず、再版を重ねるベストセラーとなっています。そこで紹介された200冊には、宇沢が社会的共通資本を構築する上で基盤としているものも多くあります。先人達の叡智を未来につないでいくとはどういうことなのか、社会的共通資本の成り立ちを軸に「本を読む」という視点から考えていきたいと思います。
【プロフィール】
多摩大学社会的投資研究所教授。日本興業銀行(現みずほ銀行)、ゴールドマンサックス証券を経て、2015年まで森ビル取締役専務執行役員CFO。現在は、100年企業戦略研究所所長、社会変革推進財団評議員、麻布学園評議員、ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ理事、経済同友会幹事、書評サイトHONZレビュアーなどを務める傍ら、資本主義の研究をライフワークとして、多様な分野の学者やビジネスパーソンと「資本主義研究会」を主催している。
第11回 2022年1月25日(火)「『欲望の資本主義』と社会的共通資本」終了しました
丸山俊一(NHK『欲望の資本主義』プロデューサー)
丸山さんは、NHKの異色人気シリーズ『欲望の資本主義』のプロデューサーとして、宇沢の思想を何度にもわたって紹介してこられました。また、11月に出版された『14歳からの個人主義~自分を失わずに生きるための思想と哲学』には宇沢が大切にしていたリベラリズムに通底するものがあります。「欲望」という根源的なものと社会的共通資本との関係性を探ります。
【プロフィール】
1962年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。教養番組部ディレクター、チーフ・プロデューサーなどを経て、現在NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー。「欲望の資本主義」「世界サブカルチャー史」「ネコメンタリー猫も、杓子も。」ほか異色の教養ドキュメントを企画制作。東京藝術大学客員教授、早稲田大学非常勤講師を兼務。著書に『14歳からの資本主義』『結論は出さなくていい』ほか。共著に『欲望の資本主義1~4』『欲望の民主主義』『マルクス・ガブリエル欲望の時代を哲学する』『AI以後 変貌するテクノロジーの危機と希望』ほか。
第12回 2022年2月25日(金)「労働と物に宿るデザインの喜び」終了しました
皆川明(minä perhonen創業者/デザイナー)
1995 年にブランドを始めた時、「せめて100 年続くブランドを」と願い、世代を超えて続いてゆく活動を思い描いたという皆川さん。大量生産・大量消費とは<真逆の方法論>をデザインの力で実践し、人の幸福感をつくりだすことを追求してきた皆川さんの取り組みは、ファッションやものづくり、流通のシステムにとどまらず、働き方、生き方にも拡がり続けています。皆川さんが考える理想の企業、資本主義とは?その活動の軌跡と現在、そして未来について語っていただきます。
【プロフィール】
1967年東京都生まれ。1995年に「minä perhonen」 の前身である「minä」を設立。自然の情景や社会への眼差しから想像を広げ、手作業で描き丁寧につくり進めたテキスタイルデザインを特徴とする。衣服に始まり、インテリアへとデザインの幅を広げながら、日々のための長く続くものづくりを目指している。東京、京都、金沢、松本、湘南などに店舗を展開し、ヒルサイドテラス内には3店舗を構える。デンマークのKvadrat、スウェーデンのKLIPPANなどのテキスタイルブランド、イタリアの陶磁器ブランドGINORI1735へのデザイン提供、新聞・雑誌の挿画なども手掛ける。
第13回 2022年5月13日(金)「学びの場を開くーー社会的共通資本としての教育」終了しました
森田真生(独立研究者)
教育は社会的共通資本の主軸の一つです。人々の内的(innate)な能力を引き出すことが教育の本質であると宇沢は考えていました。その繊細な芽が育つのを助ける場は学校だけにとどまりません。独立研究者の森田真生さんと教育を考えていきたいと思います。森田さんは数学を基盤とされていますが、”場”が醸し出す学びを作り出すために活動を広げておられます。大きく変わりつつある現代社会において、学ぶということの可能性を考えていきたいと思います。
第14回 2022年6月17日(金)「社会的共通資本からみる世界 ~アフリカ・モザンビーク 20億人の未来銀行」終了しました
合田 真(日本植物燃料代表取締役)
日本の未来はアフリカにある――。モザンビークの電気も通らない村に、電子マネーを導入し広がった世界。日本の農協システムをアフリカで構築しようとする合田さんの取り組みは、成田問題に向き合った宇沢が作り上げた農社構想と共通するものがあるのではないか。アフリカなどでの活動を通じて見えてくる社会的共通資本の普遍性を探っていきたいと思います。
第15回 2022年9月27日(火)「社会的共通資本からみる世界ー中国という「異質」な隣人」 終了しました
渡邉 真理子 (学習院大学経済学部経営学科教授)
宇沢理論は多くの国や地域で少しずつ注目が集まっています。中国でも『社会的共通資本』や『経済学の考え方』が出版されています。中国は、改革開放を経て、最近のデジタル・チャイナの興隆のニュースをみて、「資本主義成分」の高さはひろく知られるようになっていると思います。しかし、国家としては依然としてマルクス主義を標榜する社会主義国家です。20世紀からつづく社会主義国家が市場経済、資本主義と出会って、何が起きているのかをお話しいただきます。
第16 回 2022年11月29日(火)「社会的共通資本と里山資本主義」終了しました
藻谷 浩介(地域エコノミスト)
平成合併前3,200市町村のすべて、海外115ヶ国を自費で訪問し地域特性を多面的に把握され、『世界まちかど地政学NEXT』を書かれるなど『デフレの正体』から10年『里山資本主義』も進化しています。市場に乗らないものの価値の重要性に焦点を当てていらっしゃるなど、宇沢理論と親和性の高い論考を展開されています。新型コロナ感染症で大きく揺れた日本社会をどのように未来につないでいくかお話を伺っていきたいと思います。
【プロフィール】
山口県生まれの58歳。平成合併前の全 3,200 市町村、海外115ヶ国を自費で訪問し、地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興、コロナ対応などに関し研究・著作・講演を行う。
2012 年より現職。著書にデフレの正体、里山資本主義(共にKADOKAWA)、世界まちかど地政学Next(文芸春秋)など。近著(共著)に 進化する里山資本主義 (Japan Times)、 東京脱出論(ブックマン社)。
第17回「良品計画の見る未来。社会的共通資本と公益人本主義経営」終了しました
堂前宣夫(株式会社良品計画代表取締役社長)
2021年9月に社長に就任され、第2創業期と位置付け、「日常生活の基本を担う」「地域への土着」を掲げ、新たな展開を目指しておられます。また、良品計画は東京大学大学院経済学研究科に社会的共通資本寄付講座を設置しました。
なぜ、企業としてこの理論を深めようと考えられたのでしょうか。
【プロフィール】
1993年4月マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。1998年9月株式会社ファーストリテイリング入社、同年11月同社取締役に就任。同社上席執行役員として米国責任者、欧州責任者などを歴任。2016年6月マネックスグループ株式会社社外取締役(現任)。2019年2月株式会社良品計画入社、同社上席執行役員営業本部長。同年5月、同社専務取締役。2021年9月から同社代表取締役社長。
大きな変革期にある現代社会における企業のあり方など様々な角度からお話を伺っていきたいと思います。
第18回 2022年2月17日(金)第18回「企業の社会的責任とは〜社会的共通資本から考える理想と実践」終了しました
一木典子(サントリーホールディングス株式会社CSR推進部 部長)
「企業はその性質、利益を求めることはとても自然なことである。しかし、その結果どのような影響を与えるか考えることが重要である。」宇沢の言葉です。それを企業はどのようにとらえ実践してきているか。JR東日本では「公共交通機関」、オレンジページでは「コミュニティー」、サントリーホールディングスでは社会にとっての“水”としての「芸術文化活動」など――社会的共通資本を担う業界を渡ってこられた一木さんに、実践から見えてきたものを伺います。
【プロフィール】
慶應義塾大学総合政策学部卒業、JR 東日本に入社。八重洲開発プロジェクト、震災後の東北エリアの事業再編、山手線のブランディングを経て、2019 年、株式会社オレンジページの代表取締役社長。2014 年以降、ダイバシティ&インクルージョンや自然教育に係る非営利組織の社会的活動にも関わる。2022 年サントリーホールディングス株式会社に転職。人間の生命の輝きをめざして、同社の「利益三分主義」に基づくCSR 活動を担う。趣味は国内スタディツアー。夫と2人の息子の 4 人家族。
第19回2023年3月17日(金)「企業の社会的責任とは〜エネルギーから考える私たちの未来〜社会的共通資本とともに」終了しました
古舘恒介(JX石油開発(株)国内CCS事業推進部長)
募集人類の歴史をエネルギーから振り返る『エネルギーをめぐる旅~文明の歴史と私たちの未来』の著者。エネルギー業界の第一線でご活躍されながら、歴史・物理・文明論と様々な視点からエネルギーを見ておられます。これからの世界を理解するために、社会的共通資本としてのエネルギーを紐解きます。
【プロフィール】
JX石油開発(株)国内CCS事業推進部長。1994年慶応義塾大学理工学部応用化学科卒業。日本石油(当時)に入社し、リテール販売から石油探鉱まで、石油事業の上流から下流まで広範な事業に従事。エネルギー業界に職を得たことで、エネルギーと人類社会の関係に興味を持つようになる。以来サラリーマン生活を続けながら、なぜ人類はエネルギーを大量に消費するのか、そもそもエネルギーとは何なのかについて考えることをライフワークとしている。著書に『エネルギーをめぐる旅-文明の歴史と私たちの未来』(英治出版、2021年)、訳書に『パワー・ハングリー-現実を直視してエネルギー問題を考える』(ロバート・ブライス著、英治出版、2011年)がある。
第20回2023年4月7日(金)「終わらない心から考える社会的共通資本」終了しました
下西風澄(哲学者)
心とは何でしょうか。
人類と心の 3000 年を鮮やかに描き出した『生成と消滅の精神史 終わらない心を生きる』を上梓された下西風澄さんをお招きして考えていきます。哲学といういつもとは違った 視点から“心”をたどってみたいと思います。心があって初めて経済は動き出す。宇沢が大切にしていた心がなんだったのか探るヒントを見つけたいと思います。
【プロフィール】
1986年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。哲学に関する講義・執筆 活動を行っている。論文に「フッサールの表象概念の多様性と機能」(『現象学 年報』)ほか。執筆に「色彩のゲーテ」(『ちくま』)、詩「ねむの木の祈り」 (『ユリイカ』)、絵本『10才のころ、ぼくは考えた。』(福音館書店)など。 心という存在は歴史のなかでいかに構築されてきたのか。哲学を中心に、認知科 学や文学史など横断的な視点から思索を続けている。
第21回2023年5月26日(金)「林業の歴史と未来~社会的共通資本から考える」終了しました
速水 亨(速水林業代表)
日本は国土の3分の2が森林という世界有数の森林国です。その4割を占める人工林。木材の需要と供給のバランスが大きく変化しています。江戸時代から続く林業家として、「美しい山造り」を実践されてきた速水さんに、林業の歴史と現場をお伺いし、社会的共通資本としての森林の未来を探っていきます。
【プロフィール】
速水林業代表、株式会社森林再生システム代表取締役、FSCジャパン副代表。慶応義塾大学卒業。東京大学農学部研究室を経て家業の林業に携わる。2000年日本初のFSC認証取得。平成30年農林水産祭天皇杯受賞(速水亨・紫乃で受賞)。農林水産省林政審議会委員、環境省中央環境審議会専門委員、国土交通省国土審議会計画部会専門委員等歴任。現在は三重県林業経営者協会会長。みえ森林・林業アカデミー特別顧問。日経出版「日本林業を立て直す」等。
第22回「こどもの未来になにができるか 〜こどもたちの貧困問題を社会的共通資本から考える」終了しました
渡辺 由美子(認定NPO法人キッズドア理事長)
第22回は認定NPO法人キッズドア理事長の渡辺由美子さんをお迎えします。こどもは基本的には市場で取引されることがないが故に経済学では軽視される。資本主義の弊害である格差の拡大による貧困層の増加。日本では隠れてしまっている貧困の中で、翻弄されるこどもたちに学習支援を中心に温かい手を差し伸べているNPO法人キッズドアの理事長・渡辺由美子さんにお話しを伺います。子どもたちの貧困に向き合った先駆けであるキッズドアの活動から、見える”今”と”未来”を考えていきたいと思います。
【プロフィール】認定NPO法人キッズドア理事長。千葉大学工学部出身。大手百貨店、出版社等。2001年から1年間家族で渡英。2007年任意団体キッズドアを立ち上げ、日本の子どもの支援活動を開始。2009年特定非営利活動法人キッズドアを設立。著書「子どもの貧困 未来へつなぐためにできること」(水曜社)。内閣府 子供の貧困対策に関する有識者会議構成員、一般社団法人全国子どもの貧困・教育支援団体協議会 副代表理事。
第23回 2023年9月19日(火)「共感から始まる経済~アダム・スミスを起点に」終了しました
堂目 卓生 (経済学者)
『社会は共感からなる』第23回はアダム・スミス研究をされてこられた堂目卓生さんをお迎えします。経済学の祖と言われるアダム・スミスは見えざる手で有名な『国富論』を表す前に書いた『道徳感情論』において、このように記しています。国(Nation:国民や文化)が富むために、経済学は何ができるのか。宇沢経済学はどのような流れで生まれてきたのか。その根源をさぐることで、現代の課題への向き合い方を考えたいと思います。
【プロフィール】
大阪大学大学院経済学研究科教授、社会ソリューションイニシアティブ長。経済学博士。専門分野は 経済学史、経済思想。Political Economy of Public Finance in Britain 1767-1873(Routledge 2004)で日経・経済図書文化賞、『アダム・スミス』(中央公論新社、2008)で、サントリー学芸賞を受賞。2019年、紫綬褒章。2018年、「命を大切にし、一人一人が輝く社会」の構想と実現を目指し、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)を設立。
第24回 2023年11月21日(火)「人口減少社会のデザインと社会的共通資本 ~科学と資本主義の未来~」終了しました
広井 良典 (京都大学人と社会の未来研究院教授)
第24回は京都大学人と社会の未来研究院教授の広井良典さんにお越しいただきます。多くの先進国の先陣を切り人口減少が始まっている日本。少子高齢化、労働力の減少。様々な問題がクローズアップされています。持続可能な道はあるのか。『ポスト資本主義』『人口減少社会のデザイン』など多数の著書がある、京都大学の広井良典さんと考えていきたいと思います。広井さんが提唱されている定常型社会=持続可能な福祉社会と社会的共通資本は密接に関係しています。今我々にできることを広井さんの幅の広い活動からヒントを得たいと思います。
【プロフィール】
1961年岡山市生まれ。東京大学、同大学院修士課程修了後、厚生省勤務、千葉大学教授をへて2016年より京都大学教授。この間、2001-02年MIT客員研究員。限りない拡大・成長の後に展望される「定常型社会=持続可能な福祉社会」を提唱するとともに、社会保障や環境、都市・地域に関する政策研究から、ケア、死生観等をめぐる哲学的考察まで幅広い活動を行っている。著書に『コミュニティを問いなおす』(第9回大佛次郎論壇賞)、『ポスト資本義』『人口減少社会のデザイン』『科学と資本主義の未来』など多数。
第25回 2024年1月13日(土)「『その日暮らし』から見える社会的共通資本~インフォーマル経済から考えるコモンズ」終了しました
小川 さやか(立命館大学 先端総合学術研究科 教授)
第25回は文化人類学者の小川さやかさんにお越しいただきます。
香港のチョンキンマンションやタンザニアに長期滞在し、零細商人(マチンガ)も実際に経験しながら深い洞察力で行われたフィールドワークから見える在香港タンザニア人やタンザニア人、タンザニアの零細商人の”資本主義経済”をご紹介いただきながら、社会的共通資本を考えていきたいと思います。日本とは全く違う価値観で動いているようにもみえる世界ですが、インフォーマルの中にこそ、コモンズのあり方がみえ、これからの日本にも大きな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。
【プロフィール】
1978年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科一貫制博士課程指導認定退学。博士(地域研究)。専門は、文化人類学、アフリカ研究。日本学術振興会特別研究員、国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同助教、立命館大学先端総合学術研究科准教授を経て現職。主な著書に『都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社、2011年。第33回サントリー学芸賞受賞)、『「その日暮らし」の人類学―もう一つの資本主義経済』(光文社、2016年)、『チョンキンマンションのボスは知っている―アングラ経済の人類学』(春秋社、2019年、第8回河合隼雄学芸賞および第51回大宅壮一ノンフィクション賞受賞)ほか。
第26回 2024年3月5日(火)「資本主義を使いこなす為に~インフルエンサーが創る社会的共通資本」終了しました
清水 大吾(みずほ証券 投資銀行部門 サステナビリティ推進部 サステナビリティ・エバンジェリスト)
第26回はゴールドマン・サックスにおける16年間の勤務経験を踏まえ、経済性と社会性の両立を提言した著作『資本主義の中心で、資本主義を変える』を上梓された清水大吾さんをお迎えします。
成長至上主義は資本主義の本質ではない。しかし、自由な経済競争を良しとする資本主義社会において、競争に追いたてられた結果として成長が目的となってしまうことは、仕方のないことでもあろう。分野によっては、この際限のない成長至上主義が人類の持続可能性に悪影響を与えてしまうこともある。
日本の社会構造をひもとき、資本主義のあり方の根本を問い直し、持続可能な資本主義を社会的共通資本を基盤に日本から世界に発信していく。金融という社会的共通資本をどのように使いこなしていくべきかとともに、考えていきたいと思います。
【プロフィール】1975年、愛媛県西宇和郡伊方町生まれ。 2001年に京都大学大学院を卒業し、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)に入社。 07年にゴールドマン・サックス証券に入社し、16年からグローバル・マーケッツ部門株式営業本部業務推進部長(SDGs/ESG担当)。社会の持続可能性を高めるためには資本主義の流れを変える必要があると考え、社会の価値観そのものを変えるべく啓発活動を推進。 23年6月、同社を退職。
著書に『資本主義の中心で、資本主義を変える』(NewsPicksパブリッシング、2023年)がある。
第27回 2024年5月10日(金)「ウィーンフィルの哲学から考えるコモンズ運営」終了しました
渋谷ゆう子(株式会社ノモス代表取締役・音楽プロデューサー)
第27回は音楽プロデューサーの渋谷ゆう子さんをお迎えします。
社会的共通資本を考えていく上で、その管理運営をどのようにしていくかは大きな課題です。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の創立から受け継がれてきた哲学から探ります。180年前の創設時から、経営母体を持たずに演奏家たち自身が行っています。民主的な組織マネージメントから2020年コロナ禍の来日公演の舞台裏まで、彼らのレコーディングにも参加する渋谷ゆう子さんにお話を伺います。ウィーンフィルという文化がどのように醸成され受け継がれていったのか。ゆたかな社会を次世代にどのようにつないでいくかのヒントが隠されています。社会的共通資本が支える文化がどのように持続発展するのか考えていきたいと思います。
【プロフィール】
株式会社ノモス代表取締役。香川県県民ホール文化事業プロデューサー。文筆家。 教育関連業界、人材派遣会社にて企画広報、営業に従事したのち、2011年音楽制作会社創業。音楽プロデューサーとして音源制作やコンサート企画運営のほか、演奏家支援セミナーや音響メーカーのコンサルティングを行う。 日本オーディオ協会監修『音のリファレンスシリーズⅠ』でハイレゾコンテンツをプロデュース、『音のリファレンスシリーズⅡ』では日本で初めて陸上自衛隊によるFH -70実弾録音のプロジェクトを成功させる。またSONYの立体音響システム360RealtyAudio開発においてオーケストラ録音を行うなど新しい技術での音源制作に定評がある。 国内外での録音のほか、音楽ジャーナリストとして国内外での取材活動を行い、音楽雑誌やオーディオメディアで執筆多数。
【特別編】第28回 2024年7月7日(日)「歩くことから感じる社会的共通資本 『キワ地』を生きる ―湧水から歩く東京―」終了しました
松田法子(京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授)
第28回は京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授の松田法子さんをお迎えします。
東京のまちのなかには意外とあちこちに湧き水が残っています。湧き水は東京の地形に大きく関係し、東京の複雑な坂道は湧水がつくってきたといっても過言ではありません。また、多摩川や荒川などの崖線沿いにはかつて多数の湧水があり、いにしえの東京の大地に人が住み着く足がかりとなってきました。江戸時代になると湧水は、大名庭園の水源となったり、滝に仕立てられて庶民の憩いの場にもなりました。また、治癒の効果で知られる湧水もあり、信仰空間にも湧水が伴っていました。多くの湧き水は戦後の都市化の進展で姿を消しましたが、住民の活動によって、崖線の緑地と併せて保全されてきたものもあります。
東京の湧水は、武蔵野台地などの高台と、低地の境目によくみられます。そうした境目=キワ(際)の地は、他種の動植物や大地を循環する水といった、ヒト以外の存在との関係が感じられる場でもありました。
現代の東京に湧水のありかをみることで、大地や水という都市の基盤である社会的共通資本を感じるレクチャーとツアーです。
【プロフィール】
京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授。建築史・都市史。
集落・まち・都市・建築などを介して、人と大地の関係を考えている。人類による生存環境構築の長期的歴史を探り、今後のありうべき構築様式を考える「生環境構築史」を2019年に共同で立ち上げた。ほかに、水と陸地の間の領域を対象とする「汀」の人文史や、「都市と大地」などのテーマで研究活動を展開。単著に『絵はがきの別府』、共編著に『危機と都市』、『戦後空間史──都市・建築・人間』、『東京水辺散歩』、共著に『変容する都市のゆくえ──複眼の都市論』、『渋谷の秘密』、『世界建築史15講』など。
第29回 2024年10月23日(水)「インフォーマル・パブリック・ライフからみえるゆたかな社会」終了しました
飯田美樹(カフェ文化、パブリック・ライフ研究家 リュミエール 代表)
第29回はカフェ文化、パブリック・ライフ研究家の飯田美樹さんをお迎えします。
インフォーマル・パブリック・ライフとは予期せぬ人やものごとに出会える公共空間のことです。公園や広場、道端のベンチ、カフェなどもその一つです。街中にある魅力的で心地の良い空間です。このような空間は偶然に出来上がったものではなく、共通点があります。宇沢が目指していたゆたかな社会の象徴ともいうべきパブリック・ライフを研究されている飯田美樹さんにお越しいただき、お話を伺います。
【プロフィール】
パリ政治学院留学中にカフェが社会変革の発端の場であったと知り、研究開始。その後ニュータウンでの孤独な子育て中に、人が街中で気軽に集える場の研究を開始する。
現在は人生を変える英文読会 World News Caféを主催。著書『カフェから時代は創られる』『インフォーマル・パブリック・ライフ〜 人が惹かれる街のルール〜』
第30回 2024年12月13日(金)「公教育と社会的共通資本~未来につなぐ教育を考える」終了しました
平川理恵(昭和女子大学 ダイバーシティ推進機構 客員教授・東京インターナショナルスクール 理事・前広島県教育長)
第30回は昭和女子大学 ダイバーシティ推進機構 客員教授・東京インターナショナルスクール 理事の平川理恵さんをお迎えし、今の日本に必要な教育を考えます。
広島県教育長として公教育を大きく変えた平川さん。生徒が楽しくなる学校が公立校にて実現し、それが点だけではなく広く面としての展開されました。その動きはさらに広がっています。平川さんによって吹き込まれた新たな風の今までとこれからをお話しいただきます。社会的共通資本の大きな柱である教育を公教育という視点から探っていきます。
【プロフィール】
京都市生まれ。同志社大学卒業後、1991年(株)リクルートに入社。企業派遣により1998年南カリフォルニア大学経営学修士(MBA)取得。1999年留学仲介会社を起業。10年間黒字経営を果たす。2010年全国で女性初の公立中学校民間人校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任。2015年横浜市立中川西中学校校長。2018年より広島県教育委員会教育長に就任。年間予算1580億円、26000人の教職員のマネジメントを行う。その間、文部科学省中央教育審議会委員、内閣官房教育再生実行会議有識者、経済産業省産業構造審議会委員なども務める。
現在は日本の教育を変えるべく企業や学校へのアドバイス・講演を行い、本年10月1日からは「女子教育の再定義」を新しいテーマとして学校法人金蘭会学園にて経営改革本部長を務めている。またボランティアで、(一財)教育支援グローバル基金(Beyond Tomorrow)理事(児童養護施設などで育った生徒の支援)、(社)3.11震災遺児孤児文化スポーツ支援機構理事(東日本大震災の遺児孤児のための留学支援)も務めている。
著書に『クリエイティブな校長になろう』(教育開発研究所)、『あなたの子どもが自立した大人になるために』(世界文化社)、『女性部下をうまく動かす上司力』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。
Voicy:『平川理恵の教育・子育てのツボラジオ』https://voicy.jp/channel/304823
コーディネーター
占部 まり
内科医。宇沢弘文の長女。2014年宇沢の死去に伴い宇沢国際学館の代表取締役に就任。父の構築した社会的共通資本などの理論をより多くの人々にと活動をしている。日本メメント・モリ協会代表理事。