文明の踏み分け道で考える――北川フラムと“アート”を語る
第7回 「教育の視点から大地の芸術祭を考える」 ゲスト:柴田和豊(教育学者)
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ゲスト | 柴田和豊(教育学者) |
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日時 | 2014年9月27日(土) 17:00-18:30 |
会場 | クラブヒルサイドサロン(ヒルサイドテラスアネックスB棟2F/東急東横線代官山駅より徒歩3分) |
定員 | 50名(要予約) |
会費 | 一般2,000円 クラブヒルサイド会員/学生1,000円 |
主催・問合せ | クラブヒルサイド事務局 TEL: 03-5489-1267 (11:00-21:00 月曜休) FAX: 03-5489-1269 E-MAIL : info@clubhillside.jp |
共催 | 現代企画室 |
登壇者
柴田和豊(しばた・かずとよ)プロフィール
1948年神戸市生まれ。大阪教育大学、東京芸術大学大学院修士課程修了。1975年以降、宮崎大学、三重大学、東京学芸大学の教育学部に勤務し、美術教育を担当。その間「教育と美術がどう出会うか」「美術の教育的機能」「美術教育の原点帰りと現代化」などの視点からの考察と、美術教育の実践的プランの組み上げに取り組む。著作に『メディア時代の美術教育』(国土社)、「子どもの側に立った教育は存在するか」(『美術教育学』建帛社)、「美術教育の人間学のために」(『美術教育再生の論理を求めて』北冬書房)などがある。
北川フラム(きたがわ・ふらむ) プロフィール
1946年新潟県高田市(現・上越市)生まれ。東京芸術大学卒業。アートフロントギャラリー主宰。主なプロデュースとして「アントニオ・ガウディ展」、「子どものための版画展」、「アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展」など。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」、今年開催される「北アルプス国際芸術祭」「奥能登国際芸術祭」の総合ディレクターを務める。
イベント概要
関連シリーズ
文明の踏み分け道で考える――北川フラムと“アート”を語る
『美術は地域をひらく――大地の芸術祭10の思想』(現代企画室)発刊を記念して、クラブヒルサイド・ディレクターの北川フラムによるトークシリーズを開催します。グローバル化、効率化、スタンダード化する世界の流れにあって、アートの可能性はますます大きくなっています。本シリーズでは、様々な分野の第一線で格闘されているゲストと語り合うことを通して、文明の踏分道にある現在、共有の意味、共通の世界風景を探ります。
- 第1回 「北川フラムを批評/批判(クリティーク)する」 ゲスト:椹木野衣(美術評論家)終了しました
- 第2回 「思想は社会を動かせるか」ゲスト:東浩紀(思想家・作家)終了しました
- 第3回 「越境する表現者たち」ゲスト:都築響一(編集者、写真家)終了しました
- 第4回 「日本を離れてアートをやるということ」 ゲスト:川俣正(アーティスト)終了しました
- 第5回 <都市と地域の交換>はCSRとなりうるか ゲスト:高島宏平(オイシックス代表)終了しました
- 第6回 「福島から考える―やがてミロとなる子どもたちへ」ゲスト:尾田栄章(福島県広野町職員/元建設省河川局長)終了しました
- 第7回 「教育の視点から大地の芸術祭を考える」 ゲスト:柴田和豊(教育学者)終了しました
- 第8回 「動いていく地域と芸術」 ゲスト:苅部直(政治学者)終了しました
- 第9回 「大地の芸術祭はソーシャルビジネスか――バングラデシュ緑豆プロジェクトと響きあうもの」ゲスト:佐竹右行(グラミン・ユーグレナ CO-CEO)終了しました
- 特別編@市原湖畔美術館 「建築に何が可能か――場・移動・世界風景」ゲスト:原広司(建築家)終了しました
- 第10回 「越後妻有の基層文化を探る~日本海文化と東アジア島嶼文化をつなぐもの」ゲスト:森繁哉(舞踏家)終了しました
- 第11回 「パフォーマンスは大衆につながることができるのか」ゲスト:相馬千秋(舞台芸術プロデューサー)終了しました
- 北川フラムと“アート”を語る 第12回 「好奇心が世界をひらく―アートと科学の境界を超えて」ゲスト:池上高志(複雑系科学者)終了しました
- 第13回 「開発好明・再考―日本のアートの中心はどこか」ゲスト:開発好明(アーティスト)、池田修(BankART1929代表)、窪田研二(インディペンデント・キュレーター)終了しました
- 最終回 「世界の混沌の中で蔡國強はどう生きるか」ゲスト:蔡國強(アーティスト)終了しました
イベントレポート
北川フラムと“アート”を語る」セミナーシリーズ第7回目はさまざまな美術教育の現場を渡り歩き、「人間をめぐる教育」の思索を重ねてこられた教育学者の柴田和豊さんをお迎えしての対談。
柴田さんは、現在の教育の問題点は「人間がどう生きていくのか」という教育の根幹を喪失していることだと指摘する。美術教育は「鑑賞教育」に傾き、かつての日本の美術教育の出発点であった人がどう生きるのかという考察は二の次に回されていることに危惧を抱く。北川さんは柴田さんに呼応するかたちで、本来、美術や図工とは一人一人の子どもたちが輝くことを目標としていたといい、その美術教育のもつ潜在的な力を掘り起こすことは教育全般における再生にもつながる大切な課題であると説いた。やがてお二人の話しは熱をおび、大地の芸術祭の例を参照しつつ、これからの美術教育のありかたをめぐってさまざまに意見を交わした。
今回の対談は、美術を媒介にしてまさに「生きる力」と「一人一人の輝き」に焦点を当ててきた大地の芸術祭を、いわば美術教育の観点から捉えなおすというものであった。美術教育の現場としても大地の芸術祭は豊かな可能性を秘めている、そう感じられる時間であった。