文明の踏み分け道で考える――北川フラムと“アート”を語る
第8回 「動いていく地域と芸術」 ゲスト:苅部直(政治学者)
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ゲスト | 柴田和豊(教育学者) |
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日時 | 2014年10月24日(金) 19:00-20:30 |
会場 | クラブヒルサイドサロン(ヒルサイドテラスアネックスB棟2F/東急東横線代官山駅より徒歩3分) |
定員 | 50名(要予約) |
会費 | 一般2,000円 クラブヒルサイド会員/学生1,000円 |
主催・問合せ | クラブヒルサイド事務局 TEL: 03-5489-1267 (11:00-21:00 月曜休) FAX: 03-5489-1269 E-MAIL : info@clubhillside.jp |
共催 | 現代企画室 |
登壇者
苅部直(かるべ・ただし)プロフィール
政治学者(日本政治思想史)。1965年東京生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現、東京大学法学部教授。著書に『光の領国 和辻哲郎』(岩波現代文庫)、『丸山眞男――リベラリストの肖像』(岩波新書)、『安部公房の都市』(講談社)、『秩序の夢ーー政治思想論集』(筑摩書房)などがある。
北川フラム(きたがわ・ふらむ) プロフィール
1946年新潟県高田市(現・上越市)生まれ。東京芸術大学卒業。アートフロントギャラリー主宰。主なプロデュースとして「アントニオ・ガウディ展」、「子どものための版画展」、「アパルトヘイト否(ノン)!国際美術展」など。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」、今年開催される「北アルプス国際芸術祭」「奥能登国際芸術祭」の総合ディレクターを務める。
イベント概要
関連シリーズ
文明の踏み分け道で考える――北川フラムと“アート”を語る
『美術は地域をひらく――大地の芸術祭10の思想』(現代企画室)発刊を記念して、クラブヒルサイド・ディレクターの北川フラムによるトークシリーズを開催します。グローバル化、効率化、スタンダード化する世界の流れにあって、アートの可能性はますます大きくなっています。本シリーズでは、様々な分野の第一線で格闘されているゲストと語り合うことを通して、文明の踏分道にある現在、共有の意味、共通の世界風景を探ります。
- 第1回 「北川フラムを批評/批判(クリティーク)する」 ゲスト:椹木野衣(美術評論家)終了しました
- 第2回 「思想は社会を動かせるか」ゲスト:東浩紀(思想家・作家)終了しました
- 第3回 「越境する表現者たち」ゲスト:都築響一(編集者、写真家)終了しました
- 第4回 「日本を離れてアートをやるということ」 ゲスト:川俣正(アーティスト)終了しました
- 第5回 <都市と地域の交換>はCSRとなりうるか ゲスト:高島宏平(オイシックス代表)終了しました
- 第6回 「福島から考える―やがてミロとなる子どもたちへ」ゲスト:尾田栄章(福島県広野町職員/元建設省河川局長)終了しました
- 第7回 「教育の視点から大地の芸術祭を考える」 ゲスト:柴田和豊(教育学者)終了しました
- 第8回 「動いていく地域と芸術」 ゲスト:苅部直(政治学者)終了しました
- 第9回 「大地の芸術祭はソーシャルビジネスか――バングラデシュ緑豆プロジェクトと響きあうもの」ゲスト:佐竹右行(グラミン・ユーグレナ CO-CEO)終了しました
- 特別編@市原湖畔美術館 「建築に何が可能か――場・移動・世界風景」ゲスト:原広司(建築家)終了しました
- 第10回 「越後妻有の基層文化を探る~日本海文化と東アジア島嶼文化をつなぐもの」ゲスト:森繁哉(舞踏家)終了しました
- 第11回 「パフォーマンスは大衆につながることができるのか」ゲスト:相馬千秋(舞台芸術プロデューサー)終了しました
- 北川フラムと“アート”を語る 第12回 「好奇心が世界をひらく―アートと科学の境界を超えて」ゲスト:池上高志(複雑系科学者)終了しました
- 第13回 「開発好明・再考―日本のアートの中心はどこか」ゲスト:開発好明(アーティスト)、池田修(BankART1929代表)、窪田研二(インディペンデント・キュレーター)終了しました
- 最終回 「世界の混沌の中で蔡國強はどう生きるか」ゲスト:蔡國強(アーティスト)終了しました
イベントレポート



「北川フラムと“アート”を語る」セミナーシリーズ第8回目は日本の思索者たちの軌跡をたどり、政治思想史研究に新たな視座を切り拓いてこられた苅部直さんをゲストにお迎えしての対談。
まず最初に北川さんは来年にひかえる大地の芸術祭、そしてこれまでの試行錯誤の連続のなかで浮上してきた問題点と課題について報告し、そこで改めて地域の人たちの目に見えるような里程標が必要だと述べた。そのことと関係して北川さんはサポーターこへび隊との勉強会を始めたところだいう。その勉強会で注目したのが丸山真男の著作でその研究者である苅部さんに今回の対談を依頼したと語る。
苅部さんは以前、大地の芸術祭を体験し、アーティストが越後妻有に入り制作することで、地元住民だけでなく、アーティストの作風にも変化が見られたことを述べた。また苅部さんは現代アートという自分の予想を超えたものと付き合おうとする態度が作られることで、住民のまちづくりに対する主体性も形作られるのではないかという見解を示し、現代アートとまちづくりの組み合わせは、丸山真男のいう他者意識と市民意識の連関性を彷彿とさせるものがあるとした。
今回の対談では官民共同で進める今後の地域づくりが国内外の大きな枠組みの動向に左右されず、また回収されない中間領域をいかに作っていくのかという問題を巡って終始意見が交わされた。冒頭の北川さんの勉強会にふれて、苅部さんが「中間領域でものの考え方を豊かにしていく」と言われたことはとても印象的であった。