目利きが語る“私の10冊”
第25回隈研吾(建築家)
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出演 | 隈研吾(建築家) |
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会場 | ヒルサイドライブラリー(ヒルサイドテラスアネックスB棟3F) |
日時 | 2013年7月12日(金)19:00-20:30 |
定員 | 50名(要予約) |
会費 | 一般2,000円 クラブヒルサイド会員/学生1,000円 |
主催・問合せ | クラブヒルサイド事務局 TEL: 03-5489-1267 (11:00-21:00 月曜休) FAX: 03-5489-1269 E-MAIL : info@clubhillside.jp |
出演
隈研吾(くま・けんご)
1954年生。東京大学建築学科大学院修了。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。現在、東京大学教授。1997年「森舞台/登米市伝統継承館」で日本建築学会賞受賞、その後「水/ガラス」(1995)、「石の美術館」(2000)「馬頭広重美術館」(2000)等の作品に対し、海外からの受賞も数多い。2010年「根津美術館」で毎日芸術賞。近作に浅草文化観光センター(2012)、長岡市役所アオーレ(2012)、「歌舞伎座」(2013)、ブザンソン芸術文化センター(2013)、FRACマルセイユ(2013)等。国立競技場の設計にも携わる。著書に、『自然な建築』(岩波新書 2008)、『小さな建築』(岩波書店 2013)、『日本人はどう住まうべきか?』(養老孟司氏との共著 日経BP社 2012)、『建築家、走る』(新潮社 2013)、『僕の場所』(大和書房)など。社新書)、『つなぐ建築』(岩波書店)などがある。
関連シリーズ
目利きが語る“私の10冊”
2008年4月にヒルサイドライブラリーが創設されて4度目の春。その最大の魅力は、各界の「目利き」100人にお選びいただいたヒルサイドライブラリー・コレクションです。 本セミナーでは、毎回「目利き」にご登場いただき、ご自身が選ばれた10冊について語っていただきます。 本は人を通して伝わり、本を介して新たな人と人との交流が生まれます。
※今後の開催予定は決定次第WEBにてお知らせいたします。
- 第1回 池内紀(ドイツ文学者/エッセイスト)終了しました
- 第2回 佐藤忠男(映画評論家)終了しました
- 第3回 青木保(文化人類学者/文化庁長官)終了しました
- 第4回 加藤典洋(文芸評論家)終了しました
- 第5回 中村桂子(生命誌研究者/JT生命誌研究館館長)終了しました
- 第6回 槇文彦(建築家)終了しました
- 第7回 加藤種男(アサヒビール芸術文化財団事務局長)終了しました
- 第8回 野田正彰(精神病理学者)終了しました
- 第9回 福原義春(資生堂名誉会長)終了しました
- 第10回 山本寛斎(デザイナー/プロデューサー)終了しました
- 第11回 菊地成孔(音楽家/文筆家/音楽講師)スペシャル「本と音楽」(1) 菊地成孔が語る「10の本と10の音楽」終了しました
- 第12回 山下洋輔(ジャズピアニスト/作曲家)スペシャル「本と音楽」(2) 山下洋輔が語り、奏でる「本と音楽」終了しました
- 第13回 竹下景子(女優)終了しました
- 第14回 日比野克彦(アーティスト)終了しました
- 第15回 池内了(宇宙物理学者)終了しました
- 第16回 伊東豊雄(建築家)終了しました
- 第17回 東浩紀(作家/批評家)終了しました
- 第18回 平良敬一(建築ジャーナリスト)終了しました
- 第19回 大宮エリー(映画監督・脚本家・作家・演出家・CMプランナー)終了しました
- 第20回 津島佑子(作家)終了しました
- 第21回 原広司(建築家)終了しました
- 第22回 平田オリザ(劇作家/演出家)終了しました
- 第23回 池上高志(複雑系科学/東大教授)終了しました
- 第24回 朝吹真理子(作家)終了しました
- 第25回 隈研吾(建築家)終了しました
- 第26回 三浦雅士(評論家)終了しました
- 第27回 畠山重篤(牡蠣養殖家/NPO法人森は海の恋人理事長)終了しました
- 第28回 小林エリカ(作家・マンガ家)終了しました
- 第29回 森まゆみ(作家・編集者)終了しました
- 第30回 湯山玲子(著述家、ディレクター)終了しました
- 第31回 大竹昭子(作家)終了しました
- 第32回 高橋悠治(作曲家、ピアニスト)終了しました
イベントレポート
「どういう人生を歩んできたのかは、本に一番表れる。何の本を読み、感激したかが、人生をまとめる時に一番いいような気がする」という言葉からスタートした今回の目利きセミナー。その言葉どおり、建築家 隈研吾さんが歩んできた道をたどる本たちをご紹介くださいました。
高校時代に出会ったという吉田健一『ヨオロッパの世紀末』は、高度成長期における日本人の浮ついた精神性を、ヨーロッパの世紀末の文学を用いて批判しているという一冊。単なるノスタルジーではなく、非常に毒のある批判を、しかも優雅にしているところにすっかり虜になってしまったそう。高校から大学にかけ、吉田健一の著書はほとんど読み、栄養になったと言います。
建築学科に進んだ隈さんは、建築家 原広司さんと出会い強く惹きつけられます。その原さんと一緒に行ったアフリカの集落調査でのエピソードをユーモアを交えてお話いただき、集落調査をまとめた原広司『集落への旅』と、関連図書として集落の写真集ともいえるB・ルドフスキー『建築家なしの建築』をご紹介くださいます。『集落への旅』は、ただ面白い、楽しいではなく、集落の裏に20世紀の生き方を超える何かを見ようとする、原さんの必死さが見えるいい本だそう。集落から感じたクリエイティビティや、素材の使い方、原さんの間近で過ごす中で感じたことなど、アフリカでの経験は色々な形で今に活きており、隈さんにとって大きな財産となったといいます。
その他にも、初のご著書出版がきっかけで開催されたシンポジウムに基づきまとめたという上野千鶴子『家父長制と資本制』や、ニューヨーク滞在中に外国人とコミュニケーションをとる中で日本文化に目覚めた隈さんにとって重要な一冊となった岡倉天心『茶の本』もご紹介くださり、まさに建築家 隈研吾さんのこれまでをめぐる本がそろいました。
また、質疑応答のなかでは、手掛けられた歌舞伎座の設計についてや、隈さんが考える未来の建築のあり方など、貴重なお話が次々と飛出し、とても充実した目利きセミナーとなりました。