目利きが語る“私の10冊”
第17回東浩紀(作家/批評家)
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20代で鮮烈なデビューを飾って以来、その著書や活動スタイルが常に大きな話題を呼び、思想界に新鮮な刺激を与えてこられた東さん。自ら編集長をつとめる「思想地図β」を創刊し、作家としての活動も開始した東さんは、今、最も注目される言論人のひとりです。敬愛する小松左京作品をはじめ、ヒルサイドライブラリー最年少の“目利き”が選んだ「私の10冊」とは? ご期待ください。
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出演 | 第17回東浩紀(作家/批評家) |
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会場 | ヒルサイドライブラリー(ヒルサイドテラスF棟) |
日時 | 2011年10月24日(月) 19:00-20:30 |
定員 | 50名(要予約) |
会費 | 一般2,000円 クラブヒルサイド会員/学生1,000円 |
主催・問合せ | クラブヒルサイド事務局 TEL: 03-5489-1267 (11:00-21:00 月曜休) FAX: 03-5489-1269 E-MAIL : info@clubhillside.jp |
出演
東浩紀(あずま・ひろき)
1971年東京都生まれ。批評家、思想家、小説家。専攻は哲学、表象文化論。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。 株式会社ゲンロン代表取締役。批評誌『ゲンロン』編集長。
1993年、「ソルジェニーツィン試論」により『批評空間』からデビュー。『存在論的、郵便的』(新潮社)で1999年度サントリー学芸賞受賞。2010年、処女小説『クォンタム・ファミリーズ』(新潮社)で第23回三島由紀夫賞受賞。ほか著書に『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、『一般意志2.0』(講談社)、『弱いつながり』(幻冬舎)など。2017年4月、新刊『ゲンロン0 観光客の哲学』(ゲンロン)を刊行。
関連シリーズ
目利きが語る“私の10冊”
2008年4月にヒルサイドライブラリーが創設されて4度目の春。その最大の魅力は、各界の「目利き」100人にお選びいただいたヒルサイドライブラリー・コレクションです。 本セミナーでは、毎回「目利き」にご登場いただき、ご自身が選ばれた10冊について語っていただきます。 本は人を通して伝わり、本を介して新たな人と人との交流が生まれます。
※今後の開催予定は決定次第WEBにてお知らせいたします。
- 第1回 池内紀(ドイツ文学者/エッセイスト)終了しました
- 第2回 佐藤忠男(映画評論家)終了しました
- 第3回 青木保(文化人類学者/文化庁長官)終了しました
- 第4回 加藤典洋(文芸評論家)終了しました
- 第5回 中村桂子(生命誌研究者/JT生命誌研究館館長)終了しました
- 第6回 槇文彦(建築家)終了しました
- 第7回 加藤種男(アサヒビール芸術文化財団事務局長)終了しました
- 第8回 野田正彰(精神病理学者)終了しました
- 第9回 福原義春(資生堂名誉会長)終了しました
- 第10回 山本寛斎(デザイナー/プロデューサー)終了しました
- 第11回 菊地成孔(音楽家/文筆家/音楽講師)スペシャル「本と音楽」(1) 菊地成孔が語る「10の本と10の音楽」終了しました
- 第12回 山下洋輔(ジャズピアニスト/作曲家)スペシャル「本と音楽」(2) 山下洋輔が語り、奏でる「本と音楽」終了しました
- 第13回 竹下景子(女優)終了しました
- 第14回 日比野克彦(アーティスト)終了しました
- 第15回 池内了(宇宙物理学者)終了しました
- 第16回 伊東豊雄(建築家)終了しました
- 第17回 東浩紀(作家/批評家)終了しました
- 第18回 平良敬一(建築ジャーナリスト)終了しました
- 第19回 大宮エリー(映画監督・脚本家・作家・演出家・CMプランナー)終了しました
- 第20回 津島佑子(作家)終了しました
- 第21回 原広司(建築家)終了しました
- 第22回 平田オリザ(劇作家/演出家)終了しました
- 第23回 池上高志(複雑系科学/東大教授)終了しました
- 第24回 朝吹真理子(作家)終了しました
- 第25回 隈研吾(建築家)終了しました
- 第26回 三浦雅士(評論家)終了しました
- 第27回 畠山重篤(牡蠣養殖家/NPO法人森は海の恋人理事長)終了しました
- 第28回 小林エリカ(作家・マンガ家)終了しました
- 第29回 森まゆみ(作家・編集者)終了しました
- 第30回 湯山玲子(著述家、ディレクター)終了しました
- 第31回 大竹昭子(作家)終了しました
- 第32回 高橋悠治(作曲家、ピアニスト)終了しました
イベントレポート
昨年末には、自ら会社を設立し、新しい時代の言論誌『思想地図β』を刊行、また処女小説『クォンタム・ファミリーズ』では第23回三島由紀夫賞を受賞するなど、ゼロ年代を牽引する批評家・小説家として活躍する東浩紀さんの登場です。
震災の影響で延期となった本セミナー、「震災後ならばまたちがう選書になっていたかも」ということでしたが、以前に選書した10冊についてお話しいただきました。
これからの社会を考えていく上で参考になるということで選ばれた10冊は、SF小説から5冊、思想関連の書籍から5冊という内訳。
アイザック・アシモフ、フィリップ・K・デック……と、SF小説の歴史をたどりながら、語られる言葉の中には「オタク」「情報化社会」「高齢化」「格差社会」と今日的なタームがちりばめられます。
東さん自身が、すべてのジャンルを含めて、一番読んでいて、また尊敬している作家だという小松左京さんの作品からは『神への長い道』をセレクト。小松作品については、近日、東さんが編集を手がけられた選集が河出書房新社から出版されるそう。
残る5冊は、「政治とはなにか」ということをテーマにした選書。
政治的であること、または、政治的でないこととはどういうことなのか――今一度、「政治」という概念が意味することをその根本から問いを改めなければ、立ち行くことはできないのではないかと東さんは言います。
カール・シュミット、ハンナ・アーレント、ロバート・ノージック、リチャード・ローティといった政治思想家・哲学者の著作が挙がりました。
「技術の発達がうんだ今日の情報環境は、残念ながら人々の頭をよくはしないし、人と人とをうまくわかり合うようにはしてくれない。でも、現代では、戦争の映像が世界中に配信されることで、遠くにいる他者もが哀れみの情を抱く。そういったことにこそ可能性があるのではないか。」
ツイッターでの発言やニコニコ動画の配信、本の出版からその流通のシステムまでと、言論そのものだけでなく、社会のありかた、その枠組みから変革を起こし、活動を継続されている東さん。語られる言葉ひとつひとつが刺激となり、会場の熱気が呼応する、場のテンションにみちた時間となりました。